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2023年12月15日
Computational Neurology Club(第6回)

日本学術振興会 学術変革領域A「行動変容生物学」・生命創成探究センターの共催により以下の研究会を開催いたします。是非、ご参加くださいませ。

Computational Neurology Club(第6回)

講 演 者 :齊藤 隆太(田辺三菱製薬株式会社)
開催場所:オンライン(zoom)
開催日時:2024年1月15日(月) 15:00-16:30
タイトル:創薬R&DにおけるデジタルトランスフォーメーションとQuantitative Systems Pharmacology
概要:医薬品の研究開発における低い生産性を改善するため,デジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性が高まっている.すなわち,DXによるデータ駆動型創薬へのプロセス変革が創薬R&Dの多様なプロセスを高精度化・高速化させ,さらに不確実性の高い創薬の意思決定を科学的に支援することにより創薬の成功確度を高め,画期的な新薬を効率的に創製できるようになると期待されている.創薬は多くの研究プロセスの集合体であるため,一つの課題解決が劇的に生産性に貢献するというケースは稀である.従って,創薬におけるDX施策は複合的に効果をもたらすように複数の打ち手を同時に進める必要がある.そのため,プロセス全体を見た時のボトルネックの解消,組み合わせによるプロセス最適化,水平展開できる技術課題といった俯瞰的なあるいは多目的な視点を意識した課題設定が重要である.創薬における数理モデルの活用は,医薬品の研究開発における主要な課題の一つである有効性・安全性の臨床予測精度を高めるために,この20年間で著しく発展してきた技術分野の一つである.医薬品に関する数理モデルを用いた研究領域またはその技術は近年ではQuantitative Systems Pharmacology (QSP) と呼ばれている.2016年に欧州製薬連合EFPIAから提唱されたModel-informed drug discovery and development (MID3) のWhite paperが発表された (CPT Pharmacometrics Syst Pharmacol. 2016; 5: 93-122.).QSPはこのMID3フレームワークの中心的技術であり,創薬の様々な局面での定量的で科学的な意思決定を支援する有力なツールである.QSPは薬剤・疾患のメカニズムに基づいた現象の理解に向いており,ターゲット分子の推定,vitro-vivo- clinical間のトランスレーショナルリサーチ,他剤との差異化,臨床試験デザインの最適化,臨床データの解釈などで多くの成果が報告されている.本発表では,田辺三菱製薬におけるQSPの活用事例として,抗トロンビン薬,副腎毒性評価,催不整脈性評価,薬物誘発性肝障害,SGLT2阻害薬などの研究内容を紹介し,QSPによる臨床予測の現状と将来展望について議論する.

詳細・申し込み: Computational Neurology Club