センター長メッセージ
生命創成探究センターは、旧岡崎国立共同研究機構以来の学際的な研究活動の伝統を受け継ぎ、歴史ある岡崎の地に2018年4月に発足した新しい研究運動体です。新しい酒は新しい皮袋に盛れとあるように、自然科学研究機構の岡崎統合バイオサイエンスセンター、新分野創成センター、岡崎3研究所から、新進気鋭の研究者が集合し、旧来の知の世界の矩を越えた生命の概念の再構築を行うことを究極のミッションといたしました。すなわち、「命とは何か」という人類共通の根源的な知的疑問に、先端的かつ多様な科学技術や国内外を含む多層的な知的連携によって果敢に挑戦しています。発足以来の5年の間に、「みる・よむ・つくる」をキーワードに、物質と生命の境界はどこにあるのか、極限環境下で活動する生命とは何か、生命活動を支える分子は如何にして生命機能を創発しているのか、生命は人工的に構築できるのかといったテーマにアプローチし、多くの新しい知見を得つつあります。私たちは、今後、この生命創成探究センターの先端的な研究を、「先端共創プラットフォーム事業」としてさらに先鋭化すると共に、「連携強化プラットフォーム事業」としてその成果を社会との共創に還元し推進をしていきたいと考えています。一方で、我が国の基礎的研究を取り巻く環境は決して安泰とは言えないのが実情です。経験豊富な諸先輩方の協力を得ながら、センター長として、この伝統ある岡崎の地に発足した生命創成探究センターの発展に微力ながら力を尽くす所存です。皆様の一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
センターの挑戦
「生きているとは何か?」という人類共通の根源的な問いに真正面から立ち向かう大規模研究拠点は、世界的にも例がありません。ExCELLSは、これまでにない独創的な視点を持った多様な研究者が集い、次世代の生命科学研究を開拓する、新しい研究センターです。「みる・よむ・つくる」を基軸に、学際的かつ独創的な研究を展開していきます。
創成研究領域
「みる」ことで学ぶ生物学から「よむ」「つくる」ことで学ぶ生物学への流れを実現し、この3つのアプローチを一体として研究を進めていくことで、「生きているとは何か」の解明を目指します。
革新的な計測手法を開発し、複雑な生命システム全体の中における各構成要素のダイナミックな振る舞いをありのままに観測します。さらに、その背景にある物理化学的諸量の変化の可視化を行っていきます。
計測・観測を通じて蓄積されていく多様な生命情報の中に隠されている意味を解読し、理論体系化し、予測します。そのための情報科学・理論科学・計算科学的アプローチを発展させます。
生命システムを実験的に構成すること、あるいは計算機上で構築することを通じて、外部環境の変動の中で秩序創発していくロバストな生命の本質を統合的に理解することを目指します。
さらに、生命の始原形態や環境適応戦略を理解するために極限環境生命の研究者とも協力しながら、異分野融合型の新研究を進めていきます。