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2022年03月01日
  • セミナー
2021年度第5ExCELLSセミナー

2021年度第5回ExCELLSセミナーを開催いたします。

日時

2022年3月29日(火) 12:00〜13:00

場所

Zoomオンライン

演者
  • 市橋 伯一 教授
    (東京大学総合文化研究科)
題目

自己複製RNAを長期進化させると生命らしさが生まれるか?

要旨

生命は原始地球において、自己複製をする分子集団から進化したと想像されている。しかし、いまだ無生物を進化させて生命らしさを獲得していく様子は観察されたことはなく、どんな条件が整えばそのような進化が起こるのか謎に包まれている。私たちは分子の集合体から生命らしさが進化するために必要な条件を理解するために、持続的に複製し進化する能力を持つRNAの自己複製システムを開発した。このシステムは、ファージ由来のRNA複製酵素をコードしたRNA(人工ゲノムRNA)と大腸菌由来の無細胞翻訳系(PURE system)を油中水滴による微小細胞構造に封入したものである。複製中に複製ミスによりRNAには変異が入る。もし変異により自らを複製しやすくなったRNAが出現すると、そのRNAは集団内での割合を増やしていく。このようにして狭義の進化が起こる。これまでに私たちは約2400時間(約1100世代に相当)の長期進化実験を行った。その結果、1)寄生型のRNAがすぐに出現すること、2)寄生型RNAとの共進化により進化は加速し、さらに多様なRNA系統が生まれること、3)多様化したRNA系統は当初は排他的だが、次第に相互依存関係を強めあうことで複雑なRNA複製ネットワークを形成するようになること、を見出している。ただ、この自己複製RNAの進化実験により、わかったこと以上によくわからないことが多く噴出している。セミナーでは最新の結果を議論させていただければと思う。

ポスター

お問い合わせ先
古賀 信康(生命分子創成研究グループ)

当日の様子