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2019年06月07日
  • セミナー
6ExCELLSセミナー

日時
2019年5月29日(水) 午前10:00〜

場所
自然科学研究機構 生命創成探究センター(ExCELLS)
山手3号館2階 大会議室
(愛知県岡崎市明大寺町字東山5-1)

演者(一人目)
根本 知己 博士
(北海道大学電子科学研究所・北海道大学ニコンイメージングセンター 教授)

題目
非線形光学過程を活用した新規光学顕微鏡によるバイオイメージングの展開

要旨
近年、細胞や生体組織の非侵襲的なイメージングを実現するものとして、多光子励起過程や高次高調波発生などの、複数光子と分子との同時相互作用による非線形光学過程が盛んに利用されるようになってきた。特に、2光子顕微鏡法は生体組織深部での観察や局所的な光刺激を可能とすることから、神経回路網や神経機能等の研究に広く用いられている。我々は、本法の生命科学への応用を約20年前より開拓し、近年では半導体レーザ、補償光学、ベクトルビーム等の技術を活用し生体in vivoイメージングにおける深部到達性や空間分解能向上や超解像顕微鏡化を推進してきた。特に、新規半導体レーザー光源や補償光学を活用することで、麻酔下のマウス生体脳で世界最深部1.6mmの蛍光断層イメージングを実現し海馬歯状回ニューロンの観察に成功すると共に、海馬CA1錐体細胞のリアルタイムin vivo Ca2+イメージングにも成功した。また、ベクトルビームなどの新規技術を用いて、新たにパルス式2光子STED顕微鏡を構築し100nm以下の空間分解能を達成した。さらに多点走査型2光子顕微鏡の開発にも成功し、秒100フレームを超える超高速in vivoイメージングも実現し、最近ではin vivo分子配向イメージングにも成功している。一方、固定標本の観察においても、新規透徹剤を開発することで、観察可能範囲の拡大と共に、うつ病モデルマウスの樹状突起棘構造の超解像イメージングにも成功している。本セミナーでは、最近の我々の成果と共に、バイオイメージングの可能性についても議論を行いたい。

演者(二人目)
榎木 亮介 博士
(北海道大学電子科学研究所 准教授)

題目
“光”で探る生物時計中枢の作動メカニズムの探求

要旨
私たち哺乳類の生物時計(概日リズム)の中枢は、脳深部の視床下部に存在する視交叉上核に局在し、多様な特性を持つ約2万個の神経細胞が複雑なネットワークを形成する。視交叉上核は網膜から直接の光情報を受けて情報を統合し、他の脳領域や末梢臓器へとリズム情報を伝え、最終的に睡眠覚醒やホルモン分泌などの約24時間の生理機能を調節する。

私はこれまで、日から週単位の長期間で撮像ができる光イメージング計測法を確立し、視交叉上核の神経細胞ネットワークの階層構造や、概日カルシウムリズムの発生機序、神経回路で同期する概日膜電位リズムの存在などを報告してきた。最近では、視交叉上核の主なリズム情報の出力先である室傍核-傍室傍核領域において、神経細胞集団で同期する細胞内カルシウムのウルトラディアンリズムを偶然見いだしている。本セミナーでは、これらの生物時計中枢の神経回路の光イメージング解析の試みのほか、将来展望について未発表データを交えて紹介したい。

ポスター

※ポスター画像をクリックするとダウンロードが可能です。

お問い合わせ先
富永(温度生物学研究グループ)

当日の様子