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2020年07月14日
  • セミナー
2020年度第1ExCELLSセミナー

日時
2020年7月8日(水) 15:00〜

場所
Zoomオンライン

演者
備瀬 竜馬 博士
(九州大学大学院システム情報科学研究院 准教授)

題目
顕微鏡画像における多細胞トラッキング技術とその発展課題

要旨
バイオ分野及び創薬分野の研究開発において、細胞群培養における細胞挙動解析は一つの重要な研究トピックである。例えば、幹細胞の分化誘導研究等において、時系列で細胞がどう動き、いつ分裂したかの細胞系譜情報は非常に重要である。このような情報を得るためには、顕微鏡でタイムラプス画像を撮影し、個々の細胞の領域検出及びトラッキングを行う必要があるが、細胞数は膨大であり手作業で行うのは実質上限界がある。そこで、自動で細胞検出及びトラッキングを行う手法が提案されてきている。

多数の細胞が培養された様子が撮像されたタイムラプス顕微鏡画像シーケンスが得られた際に、一般的に各フレームで個々の細胞を検出し、フレーム間で検出された細胞の対応付けを行うことで、個々の細胞の追跡を可能とする。近年、Deep Neural Networkの発展により、機械学習によって細胞検出及び対応付けに関して学習し、高精度な細胞トラッキングを実現することができるようになった。本セミナーでは、多細胞追跡手法の基礎から最新の深層学習を用いた手法の概要を紹介する。

さらに、人手のアノテーションを極力削減した新しい機械学習手法を紹介する。例えば、個々の細胞の領域をセグメンテーションしようとすると、一般的には、個々の細胞の境界に線を引くアノテーションが必要となるが、数百の細胞の領域を囲むのは非常に時間がかかる。それに対して、提案手法では、一つの細胞につき中心座標付近の1点のアノテーション(これは細胞境界全体と比べ弱い教師であるため弱教師と呼ぶ)で済むようになる。このような弱教師データが与えられた場合、素人であっても細胞全体を見て、一つ一つの細胞を認識することが出来る。同様にNeural Networkにおいても、中心付近の座標を出力するように学習する過程で、細胞領域の情報を学習すると仮定して、学習後のNetworkのパラメータを解析することで、個々の細胞の領域を抽出することに成功した。また、同様のアイディアをフレーム間の細胞の対応付け(トラッキング)においても拡張し、アノテーションコストが少ない弱教師からトラッキングの学習を可能にした。

ポスター

※ポスター画像をクリックするとダウンロードが可能です。

お問い合わせ先
青木 一洋(定量生物学研究グループ)

当日の様子