生体情報処理のデータ駆動的解読と数理モデリング

連携研究 2019年度

研究課題: 生体情報処理のデータ駆動的解読と数理モデリング

プロジェクト代表者: 本田 直樹 (京都大学生命科学研究科 准教授)

研究概要

近年、蛍光顕微鏡や次世代シーケンサを代表とする計測技術が発展し、生体組織における分子活性や遺伝子発現量がハイスループットに計測され、膨大なデータが得られる時代になっている。生命科学は今まさに計測データと解読技術の融合を必要としており、データの裏に潜む規則性やメカニズムを抽出する解読技術は、次世代の生命科学における基盤技術となることが期待されている。

本プロジェクトでは、様々な階層(細胞・多細胞組織・免疫・神経回路・神経活動・行動)で計測されるデータを対象に、これまで未知であった生物学的メカニズムをデータ駆動的に明らかにし、生命をシステム的に理解するための新しい理論体系を打ち出すことを目指す。具体的なアプローチとして、生物はある目的(生命機能)を達成するために、外界からの入力を内部で処理し、適切な出力を生成する計算システムと捉える。そして、問うべき問題を「生体内で行われる情報処理」および「その物理的実装法」 に分解する。前者に対しては、定量的データから機械学習を用いて生体内情報処理の解読を行う。後者に対しては、ボトムアップ的に生物学的プロセスを数理モデル化することで情報処理を支える生物学的プロセスを明らかにする。このような問題の分解によって、生命機能を計算論的意義とその物理的実装の二つの視点からシステマティックに理解することを可能にする。これら開発された技術は生命創成探究センターのグループと共有され、緊密な連携によって、生命システムの本質理解に向けた共同研究を推進する。